精神安定剤や抗うつ剤:あがり症 克服 仕方

精神安定剤や抗うつ剤であがり症を克服する

精神安定剤を服用することであがり症を克服することができます。
最も多く用いられている精神安定剤は「ベンゾジアゼピン」という薬です。
ベンゾジアゼピンはあがり症など、不安を原因とする症状や、筋肉の硬直など「身体反応」に対して高い効果を発揮します。
しかし、この薬を服用したからといって他人と積極的に関われるようになったり、他人の視線に対してたじろがずに行動できるようになったりできません。
つまり、一時的な不安を取り除くことはできても、行動様式を変えるまでの効用はないようです。
また、あがり症を克服するためにベンジゾアゼピンを服用し、その服用を途中でやめてしまうと、より強い不安を感じてしまうこともあります。
つまり、リバウンドとしてあがり症の症状がより強くなってしまうこともあるのです。
加えてこの薬は依存性が高く、長期間にわたって服用し続けると効果が薄れていくという欠点もあります。
このような理由から最近ではベンジゾアゼピンがあがり症の克服に対して処方されなくなってきました。
現在では、あがり症よりも症状の重い「社会恐怖」と呼ばれる精神疾患の患者に対してのみ処方されるようになりました。

抗うつ剤もあがり症の克服に効果があるといわれています。
うつ病でなくても処方されるケースがあるのです。
なぜなら、抗うつ剤はネガティブな考え方や不安な感情、不自然な行動などあらゆる症状においてポジティブな効果が期待できるからです。

抗うつ剤であがり症を克服する時の注意点

抗うつ剤もあがり症の克服に対して使用されていますが、すべての抗うつ剤があがり症の克服に対して効果があるとは限りません。
例えば従来から多く使用されてきた「三環系抗うつ剤」と呼ばれる薬はあがり症など「社会不安」に対しては効果が薄いと言われています。
あがり症の克服に使用される抗うつ剤は「SSRI」と呼ばれる比較的新しいタイプの薬です。
この薬の特徴は、従来の抗うつ剤が様々な神経伝達物質に作用するのに対し、セロトニンと呼ばれる神経伝達物質にのみ作用することにあります。
セロトニンは心理的な障害に最も関わりが深いとされる神経伝達物質で、SSRIは神経の終末部分でセロトニンの量を正常に近い量にする効果があります。
SSRIはこのようにピンポイントで働きかけることに加え、副作用も少ないとされています。
さらに、この薬は「うつ」の治療だけでなく、「パニック障害」や「強迫性障害」の不安を抑える効果もあることから、様々な場面で処方されています。

抗うつ剤を日常的に使用するためには、医師の指示に従い、多くの点に注意しなければなりません。
抗うつ剤の服用はβ遮断薬と異なり、処方期間が短時間で終了するのではなく、少なくても半年から一年、場合によっては数年以上にかけて続ける必要があります。
また、数ヶ月の服用のおかげで効果が現れたとしても、そこで満足して服用を止めてしまってはいけません。
突然服用を止めるとリバウンドの症状が発生することもあるようです。

抗うつ剤の使用については注意点が多いことから、必ず医師の処方に従うことが必要になります。
そして、抗うつ剤を使用したあがり症の克服には心理的なサポート、つまり心理療法も併用して行うことが多いようです。